『高齢者の低栄養を知る100の話“57”』
高齢者の食事量が減り、体重も落ちてきた。
「管理栄養士に相談したほうがよいのでは」と思っても、どこへ行けば会えるのか分からない人は少なくありません。
病院にはいそうだけれど、受診していない人でも相談できるのか。自宅まで来てもらえるのか。介護サービスを利用していなければ相談できないのか。
管理栄養士は、病院や介護施設だけでなく、自治体、保健センター、学校、企業、福祉施設、栄養ケア・ステーションなど、さまざまな場所で働いています。
ただし、地域の相談窓口として見える場所にいるとは限りません。
病院・診療所の管理栄養士
病院では、入院患者の栄養管理、病院食の管理、栄養食事指導などを管理栄養士が担っています。
外来でも、糖尿病、腎臓病、心臓病、高血圧、がん、低栄養など、病気や状態に応じた栄養相談を受けられる場合があります。
ただし、病院や診療所によって、管理栄養士の配置や相談体制は異なります。栄養相談を受けるには、医師の診察や指示、予約が必要なこともあります。
体重減少や食欲低下があり、病気が疑われる場合は、まずかかりつけ医へ相談し、
「食事について管理栄養士にも相談できますか」
と尋ねてみましょう。
急な体重減少、発熱、強い倦怠感、吐き気、息苦しさ、むくみ、飲み込みの急な悪化などがある場合は、栄養相談の前に医師による診察が必要です。
自治体や保健センターの管理栄養士
市区町村の保健センターや健康づくりを担当する部署には、管理栄養士や栄養士が配置されていることがあります。
住民向けの栄養相談、健診後の保健指導、健康教室、料理教室、高齢者への訪問支援などが行われています。[1][2]
ただし、相談できる対象者、相談日、予約の要否、費用などは自治体によって異なります。
自治体のウェブサイトで、
「栄養相談」
「食生活相談」
「高齢者 低栄養」
「フレイル相談」
などの言葉を検索するか、保健センター、高齢者支援担当課、後期高齢者医療担当窓口へ問い合わせてみましょう。
介護認定を受けていない、元気な高齢者でも利用できる相談事業が設けられている場合があります。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、高齢者の暮らしに関する総合的な相談窓口です。
すべての地域包括支援センターに管理栄養士が配置されているわけではありません。しかし、
「食事量が減っている」
「体重が落ちてきた」
「買い物や料理が難しくなった」
「どこに相談すればよいか分からない」
といった相談を受け、自治体、医療機関、介護サービス、地域の管理栄養士などへつなぐことができます。
栄養の問題かどうか分からない段階でも相談できます。本人だけでなく、家族から相談することも可能です。
介護施設や介護サービス
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設などの介護保険施設では、管理栄養士や栄養士が入所者の栄養管理に関わっています。
デイサービス、通所リハビリテーション、訪問看護、居宅介護支援事業所などでも、事業所内または外部の管理栄養士と連携している場合があります。
介護サービスを利用している人は、ケアマネジャーへ、
「最近、体重が減っているので、管理栄養士に相談したい」
と伝えてみましょう。
管理栄養士の居宅療養管理指導など、本人の状態や制度上の要件に応じて、自宅で栄養相談を受けられる場合もあります。
栄養ケア・ステーション
地域で管理栄養士を探すときに活用できるのが、「栄養ケア・ステーション」です。
栄養ケア・ステーションは、地域住民、医療機関、介護事業所、自治体などからの依頼に応じ、管理栄養士・栄養士が栄養に関する支援を行う地域の拠点です。
日本栄養士会のウェブサイトでは、全国の都道府県栄養士会栄養ケア・ステーションや、認定栄養ケア・ステーションを検索できます。[3]
提供するサービスは各施設で異なりますが、
- 栄養や食事に関する相談
- 訪問型の栄養相談
- 医療機関と連携した栄養食事指導
- 献立やレシピの提案
- 料理教室
- 地域の健康教室への講師派遣
- 介護事業所や配食事業者への支援
などに対応しているところがあります。
認定栄養ケア・ステーションは、診療所、薬局、介護事業所、管理栄養士の事務所など、身近な場所に設置されている場合があります。
日本栄養士会の「栄養ケア・ステーションを探す」ページで、都道府県や必要なサービスを選んで検索できます。
自宅へ来てもらえる場合もある
外出が難しい高齢者には、管理栄養士が自宅を訪問し、実際の食事、台所、冷蔵庫、調理方法などを確認しながら支援する方法があります。
医療保険や介護保険を利用した訪問栄養食事指導・居宅療養管理指導では、通院が困難であることや、医師が栄養指導の必要性を認めて指示することなど、一定の要件があります。[4][5]
そのため、「管理栄養士に来てほしい」と希望するだけで、必ず保険を使って訪問してもらえるわけではありません。
まず、かかりつけ医、ケアマネジャー、訪問看護師などへ相談します。保険制度とは別に、自費の訪問栄養相談を提供する栄養ケア・ステーションもあります。
利用条件、費用、交通費、対応地域を事前に確認しましょう。
薬局や地域の店舗にいることもある
一部の薬局、ドラッグストア、スーパー、配食事業者などにも、管理栄養士が勤務しています。
健康相談会や店舗での栄養相談を実施している場合もありますが、対応内容は事業者によって異なります。
無料相談であっても、病気に応じた療養食の指導や継続的な栄養管理まで対応できるとは限りません。相談の目的と、医療機関との連携体制を確認することが大切です。
相談するときに用意したい情報
管理栄養士へ相談するときは、次の情報があると、具体的な支援につながりやすくなります。
- 現在の体重と、半年前の体重
- いつから食事量が減ったか
- 数日分の食事内容や写真
- 病名、治療内容、検査結果
- 処方薬、市販薬、サプリメント
- 噛みにくさ、むせ、口の痛み
- 吐き気、便秘、下痢などの症状
- 誰が買い物や調理をしているか
- 本人と家族が困っていること
「何を食べればよいですか」という質問だけでなく、「なぜ食べられないのか」を一緒に考えてもらうことが重要です。
分からなければ、まず身近な窓口へ
地域の管理栄養士を、自分で一から探さなくても構いません。
かかりつけ医、ケアマネジャー、地域包括支援センター、自治体の保健センターなどへ、「高齢者の食事と体重について管理栄養士に相談したい」と伝えてみましょう。
管理栄養士がその場にいなくても、地域の相談先へつないでもらえる可能性があります。
低栄養は、食べる量を増やすだけでは解決しないことがあります。
病気、口腔、薬、心理状態、買い物、調理などを確認し、その人の暮らしに合った方法を一緒に考える。それが地域で働く管理栄養士の役割です。
見えにくいだけで、管理栄養士は地域のさまざまな場所にいます。
必要なのは、「どこにいるか分からない」で諦めず、まず身近な窓口へ相談することです。
執筆者
一般社団法人在宅栄養ケア推進基金
参考文献・参考資料
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「管理栄養士・栄養士」
[2] 厚生労働省「地域における行政栄養士による健康づくり及び栄養・食生活の改善」
[3] 公益社団法人日本栄養士会「栄養ケア・ステーションを探す」
[4] 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」―居宅療養管理指導(管理栄養士)
[5] 厚生労働省「在宅患者訪問栄養食事指導料」
初回公開日
2026年9月30日
最終更新日
2026年9月30日
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