25.3食食べられないときは「間食」を活用しよう

高齢になると、一度に食べられる量が減り、3食をすべて食べ切ることが難しくなる場合があります。朝は飲み物だけ、昼は麺を少し、夕食も半分しか食べられない――このような状態が続けば、本人は毎日食べているつもりでも、必要なエネルギーやたんぱく質が不足することがあります。

そこで役立つのが「間食」です。低栄養予防でいう間食は、単なるお菓子や楽しみだけではなく、3食で取り切れなかった栄養を補う「補食」という考え方です。一度に無理をして食べるのではなく、食事を小分けにして、一日全体で必要な量に近づけます。

3食食べられないことを責めない

1日3食を規則正しく食べることは基本です。しかし、食欲が落ちている人に「3食きちんと食べなさい」と言い続けても、食べられるようになるとは限りません。食卓に並んだ量を見るだけで負担を感じ、食事そのものが嫌になることもあります。

高齢者が食べられない背景には、噛みにくさ、飲み込みにくさ、口の乾燥、便秘、胃もたれ、痛み、薬の影響、気分の落ち込み、買い物や調理の負担などがあります。まず「朝食を抜いた」という結果だけでなく、なぜ食べられなかったのかを確認することが大切です。

そのうえで、一度にたくさん食べられない場合は、食事と食事の間に補食を取り入れます。1日2食になってしまう高齢者には、補食でエネルギーとたんぱく質を補う方法が示されています[1]。

間食で補いたいものは何か

選ぶときは、その人の食事で不足しているものを考えます。

ごはんやパンなどの主食が少ない人は、エネルギーを補える小さなおにぎり、サンドイッチ、蒸しパン、いも類などが候補です。肉、魚、卵、大豆製品などの主菜が少ない人は、牛乳、ヨーグルト、チーズ、卵、豆乳、豆腐などを取り入れると、たんぱく質も補いやすくなります[2]。

たとえば、次のような組み合わせが考えられます。

  • 小さなおにぎりとチーズ
  • バナナとヨーグルト
  • パンと牛乳または豆乳
  • 茶わん蒸しや卵豆腐
  • プリンと乳製品

果物や菓子にもエネルギーを補う役割はありますが、それだけに偏ると、たんぱく質やほかの栄養素が不足する可能性があります。厚生労働省も、菓子の割合が大きくなるほど、食事からビタミンやミネラルなどを取りにくくなると説明しています[3]。

「甘いものは禁止」と考える必要はありません。本人が食べやすいものを生かしながら、乳製品や卵などを組み合わせ、エネルギーとたんぱく質の両方を意識することがポイントです。

量と時間は「次の食事」を見ながら決める

補食を一度にたくさん食べると、次の食事が入らなくなり、結果として一日の摂取量が増えないことがあります。最初は少量から試し、次の食事の食欲や食べた量を見ながら調整します。

時間は、朝食と昼食の間や、昼食と夕食の間などが取り入れやすいでしょう。夕食が早く、就寝まで長い人では、夕食後に少量を取る方法もあります。ただし、生活時間、血糖値、服薬との関係によって適切な時間は異なります。

「何時に何を食べたか」「次の食事をどのくらい食べられたか」を数日記録すると、その人に合う量と時間を見つけやすくなります。体重も定期的に測り、減少が止まったかを確認します。

飲み物だけで済ませない工夫

食欲がないときは、お茶やコーヒーだけで一食を終えることがあります。水分は大切ですが、それだけではエネルギーやたんぱく質をほとんど補えません。飲み物なら牛乳や豆乳、食品を使ったスープなど、栄養を含むものを選ぶ方法があります。

ただし、水分でむせる、飲み込んだ後に声が変わる、咳が増えたという場合は、自己判断で飲み物やとろみを調整せず、医師、歯科医師、言語聴覚士、管理栄養士などに相談してください。安全に食べられる形は、飲み込む機能によって異なります。

持病がある人は個別の調整が必要

糖尿病がある人では、甘い飲み物や菓子を何度も取ると、血糖管理に影響することがあります。腎臓病、心不全などがある人も、たんぱく質、カリウム、塩分、水分などの調整が必要な場合があります。

食事療法を受けている人は、「低栄養が心配だから」と自己判断で補食を増やさず、主治医や管理栄養士に相談してください。反対に、厳しい制限によって食事量や体重が減っている場合は、現在も同じ内容を続けるべきか確認することが必要です。

栄養補助食品も選択肢の一つですが、種類によって含まれるエネルギー、たんぱく質、水分、ミネラルなどが異なります。商品名や印象だけで選ばず、普段の食事で何が不足しているのかを見たうえで使います。

間食を増やす前に医療へ相談したい場合

急に食べられなくなった、数週間から数か月で体重が減った、吐き気や腹痛、下痢、便秘が続く、むせる、発熱や強いだるさがある場合は、間食だけで様子を見ないでください。食欲低下の背景に、治療が必要な病気や薬の影響が隠れている可能性があります。

間食は、3食を食べられないことをごまかすためのものではありません。食べられない原因を探しながら、不足する栄養を無理なく小分けにして補う方法です。

食べる回数を増やし、一日全体で必要な栄養に近づける。そして得られたエネルギーを、無理のない活動につなげる。「食べる→動く」を支える補食として、間食を上手に活用しましょう。


執筆者
一般社団法人在宅栄養ケア推進基金

参考文献・参考資料

[1]厚生労働省 e-ヘルスネット「お菓子や間食の取り入れ方
[2]公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「ライフサイクルと食生活
[3]公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「高齢者の低栄養


初回公開日
2026年9月14日

最終更新日
2026年9月14日