29.コンビニでもできる高齢者の低栄養予防

「高齢者の食事は、手作りでなければ健康によくない」と思っていませんか。実際には、買い物や調理が負担になり、食事を抜いたり、ごはんと漬物だけで済ませたりするほうが、低栄養につながることがあります。

コンビニには、一人分の食品を必要なときに購入でき、調理しなくても食べられるという利点があります。選び方を少し工夫すれば、高齢者の低栄養予防に活用できます。

目指すのは完璧な献立ではなく、食べない日を減らし、必要なエネルギーとたんぱく質を確保することです。

基本は「主食+主菜」

商品を選ぶときは、まず主食と主菜があるかを確認します。

主食は、おにぎり、パン、麺、ごはんなど、身体を動かすエネルギー源です。主菜は、肉、魚、卵、大豆製品など、たんぱく質を多く含むおかずです。野菜、きのこ、海藻などを使った副菜も加えられれば、ビタミン、ミネラル、食物繊維などを補いやすくなります。

厚生労働省も、外食や持ち帰りの食事を利用するときは、主食・主菜・副菜がそろっているかを確認することを勧めています[1]。

ただし、食事量が少なく体重が減っている人では、野菜だけで満腹になり、主食や主菜を残してしまうことがあります。その場合は、まずエネルギーとたんぱく質を取れる組み合わせを優先します。

組み合わせは難しく考えない

一つの商品ですべてをそろえなくても、複数の商品を組み合わせれば構いません。たとえば、次のような選び方があります。

  • おにぎり+焼き魚や卵料理+おひたし
  • サンドイッチ+牛乳やヨーグルト+果物
  • うどんやそば+ゆで卵や豆腐+野菜の小鉢
  • ごはん入りの弁当+乳製品
  • パン+チーズや卵+野菜スープ

おにぎりだけ、麺だけ、菓子パンだけでは、たんぱく質が不足しやすくなります。「たんぱく質を含む商品を一つ加える」と覚えておくと、選びやすくなります。

弁当に肉や魚、卵が入っていれば、それを主菜として考えます。おかずが少ない場合は、冷ややっこ、卵、魚の缶詰などを追加できます。厚生労働省の資料でも、「おにぎり+焼き魚+おひたし」のような組み合わせが紹介されています[1]。

少食の人は小さい商品を組み合わせる

大きな弁当を買っても半分以上残す人には、小さなおにぎり、少量の総菜、ヨーグルトなど、食べ切れる商品を組み合わせる方法があります。最初から量を多くしすぎず、食べられる量を確認します。

一度に食べられなければ、購入した食品を食事と間食に分けることもできます。ただし、開封後や常温で長時間置いた食品は、食中毒の危険が高くなります。表示された保存方法と消費期限を守り、必要に応じて冷蔵してください。

食欲がないときは、茶わん蒸し、卵豆腐、ヨーグルト、プリン、豆乳など、少量で食べやすいものが候補になります。食事全体が少ない人では、低エネルギーの商品ばかりを選ばず、エネルギーを補えるかも確認しましょう。

噛む力や飲み込む力に合わせる

コンビニには軟らかい食品もありますが、「軟らかい=安全」とは限りません。おにぎりの海苔、ぱさつくパン、汁気の少ない肉、ばらばらになる総菜などは、人によって食べにくい場合があります。

硬い物を避けるようになった人には、煮魚、豆腐、卵料理、軟らかく煮た総菜などを選びます。水分でむせる、食後に声が変わる、口の中に食べ物が残る場合は、自己判断で商品を選び続けず、医師、歯科医師、言語聴覚士、管理栄養士などへ相談してください。

塩分や持病にも注意する

弁当、麺類、スープ、漬物、加工肉などを組み合わせると、塩分が多くなることがあります。栄養成分表示の「食塩相当量」を確認し、麺の汁をすべて飲まない、漬物やスープを毎回重ねないなどの工夫ができます[3]。

一方で、塩分を気にするあまり、おかずをすべて避けて食事量が減ってしまうのも問題です。高血圧、心不全、腎臓病などで食事指導を受けている人は、どの程度の制限が必要かを主治医や管理栄養士に確認してください。

糖尿病がある人も、菓子パンや甘い飲み物だけで食事を済ませるのではなく、主食、主菜、副菜の組み合わせと、一日全体の量を考えます。

コンビニを使うことは「手抜き」ではない

調理が難しくなった人にとって、コンビニやスーパーの総菜、冷凍食品、配食サービスなどは、食生活を支える大切な選択肢です。健康長寿ネットでも、調理が負担な場合の方法として、宅配食、コンビニ、スーパーの総菜、冷凍食品の活用が挙げられています[2]。

ただし、以前より買う品数が減った、同じ食品ばかり選ぶ、期限切れの商品が増えた、店へ行けなくなったという変化は、低栄養だけでなく、身体機能や認知機能、生活環境の変化を示すことがあります。家族や周囲の人は、購入した物だけでなく、実際に食べた量も確認してください。

体重減少や急な食欲低下、繰り返すむせ、発熱、強いだるさなどがある場合は、商品選びだけで対応せず、医療機関へ相談します。

コンビニでの低栄養予防は、「主食を一つ、たんぱく質を含む主菜を一つ」から始められます。食べられる量と持病に合わせて副菜や乳製品などを加え、食べる力を日々の活動につなげていきましょう。


執筆者
一般社団法人在宅栄養ケア推進基金

参考文献・参考資料

[1]消費者庁「栄養成分表示の活用について
[2]厚生労働省 e-ヘルスネット「外食・中食の上手な活用法
[3]公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「フレイルと栄養

初回公開日
2026年9月16日

最終更新日
2026年9月16日