18.MNA-SFとは?高齢者の低栄養リスクを確認する方法

「低栄養が心配だけれど、何を確認すればよいのか分からない」。そのようなときに使われる代表的な方法の一つが、MNA-SFです。

MNA-SFは、Mini Nutritional Assessment-Short Formの略で、日本語では「簡易栄養状態評価表」と呼ばれます。高齢者の低栄養や、そのリスクを早めに見つけるために開発されたスクリーニングツールです。[1]

体重やBMIだけでなく、食事量、身体機能、病気、認知機能などを含めて確認できることが特徴です。ただし、MNA-SFだけで病気や低栄養の原因を診断するものではありません。支援が必要な人を見つけ、詳しい評価につなぐための入口です。

MNA-SFで確認する6つの項目

MNA-SFでは、最近の状態について、次の6項目を確認します。

1.食事量の減少

過去3か月に、食欲低下、噛みにくさ、飲み込みにくさなどによって食事量が減っていないかを確認します。

食事を三食取っていても、一回当たりの量が半分になっていれば注意が必要です。「食べているか」だけでなく、「以前と比べて量が減ったか」を見ます。

2.体重減少

過去3か月に体重が減っていないかを確認します。体重減少の程度が分からない場合の選択肢もありますが、普段から体重を測り、記録しておくと、より正確に答えられます。

3.自力で動ける範囲

ベッドや椅子から離れて動けるか、外出できるかなど、移動能力を確認します。活動範囲が狭くなると、筋力や食欲の低下、買い物や調理の難しさにつながることがあります。

4.精神的ストレスや急性の病気

過去3か月に、大きな精神的ストレスや急な病気がなかったかを確認します。入院、感染症、けが、手術、家族との死別などをきっかけに、食事量や体重が落ちる場合があります。

5.認知機能や気分の問題

認知症やうつ状態などの有無を確認します。食事をしたことを忘れる、食事の準備ができない、食べる意欲が低下するといった変化は、栄養状態に影響する可能性があります。

6.BMIまたはふくらはぎの周囲長

基本的には身長と体重からBMIを計算します。身長や体重を測れずBMIが算出できない場合は、ふくらはぎの最も太い部分の周囲長を用いる方法もあります。

このようにMNA-SFは、単に「痩せているか」だけを見るのではなく、低栄養につながる複数の要素を短時間で確認します。改訂版MNA-SFは、従来の詳細なMNAとの比較により、高齢者の栄養スクリーニングに使用できることが検証されています。[2]

点数はどう見るのか

6項目の合計は14点満点で、公式の判定区分は次のとおりです。

  • 12~14点:栄養状態良好
  • 8~11点:低栄養のおそれあり
  • 0~7点:低栄養

ここで注意したいのは、点数だけで対応を決めないことです。

12点以上でも、測定後に急な食欲低下や体重減少が起きていれば、再確認が必要です。8~11点の場合は、何が点数を下げているのかを調べます。0~7点の場合は、MNA-SF上で低栄養に該当しますが、原因や重症度を判断するため、医師や管理栄養士などによる詳しい評価が必要です。

MNA-SFの結果は、医療上の診断名を確定するものではありません。「点数が低かったから、とにかく食べさせる」と考えるのではなく、食べられない原因を探すことが重要です。

正しく確認するためのポイント

質問に答えるときは、本人の印象だけに頼らず、体重記録や家族からの情報も確認します。認知機能が低下している人では、「食事量は減っていない」と答えていても、実際には食べ残しや欠食が増えていることがあります。

また、正式なMNA-SFの質問文、選択肢、配点を自己流に変更すると、結果を正しく比較できなくなります。公式の日本語版を使い、定められた手順に沿って評価することが必要です。[1]

一回測定して終わりにせず、退院後、病気や薬の変更後、食欲が落ちたとき、体重が減ったときなどに再評価すると、変化を捉えやすくなります。実施日、点数、体重、気づいた原因、行った支援を一緒に記録しておくことが大切です。

点数を支援につなげる

MNA-SFの本当の目的は、点数を付けることではありません。

低栄養のおそれが見つかったら、食事量、体重、口腔機能、病気、服薬、買い物や調理、経済状況、家族や地域とのつながりなどを確認します。必要に応じて、かかりつけ医、管理栄養士、歯科医師・歯科衛生士、薬剤師、介護職などにつなぎます。

薬局、医療機関、高齢者施設、地域の健康相談などで、同じ方法を用いて評価し、経過を記録できれば、小さな変化を見つけやすくなります。本人の同意や個人情報への配慮を前提に、必要な専門職の間で結果を共有することも、継続支援に役立ちます。

急な体重減少、ほとんど食べられない状態、繰り返す嘔吐や下痢、強いだるさ、発熱、息苦しさ、飲み込みにくさなどがある場合は、点数の判定を待たず、医療機関へ相談してください。

MNA-SFは、低栄養の「答え」を出す道具ではなく、見過ごされているリスクに気づくための道具です。

「確認する→原因を探す→必要な支援につなぐ→もう一度確認する」。この流れを日常の中につくることで、高齢者の低栄養を早い段階から支えられるようになります。


執筆者
一般社団法人在宅栄養ケア推進基金

参考文献・参考資料

[1] MNA公式サイト「簡易栄養状態評価表 MNA®-SF 日本語版
[2] Kaiser MJ, et al. “Validation of the Mini Nutritional Assessment Short-Form(MNA-SF): A practical tool for identification of nutritional status
[3] Volkert D, et al. “ESPEN practical guideline: Clinical nutrition and hydration in geriatrics

初回公開日
2026年9月9日

最終更新日
2026年9月9日