17.高齢者のBMIはどう見ればいい?

健康診断の結果に「BMI」が書かれていると、「22が理想」「25を超えたら痩せなければ」と考える人もいるでしょう。しかし、高齢者のBMIは、一つの数字だけで良い・悪いを判断しないことが大切です。

高齢期には、生活習慣病の予防だけでなく、低栄養、筋肉の減少、フレイルも防ぐ必要があります。若い頃と同じ感覚で体重を減らすと、脂肪だけでなく筋肉まで失い、歩く力や生活機能を低下させる可能性があります。

BMIは体重と身長から求める体格の指標

BMIは、次の式で計算します。

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

たとえば、身長160cm、体重60kgの場合は、60÷1.6÷1.6で、BMIは約23.4です。

日本肥満学会の分類では、BMI18.5未満が「低体重」、18.5以上25未満が「普通体重」、25以上が「肥満」とされます。[1] ただし、これは体格を分類する基準です。「すべての人がBMI22を目指すべき」という意味ではありません。

BMIには、特別な機器を使わず簡単に計算できる利点があります。一方で、同じBMIでも、筋肉が多い人、脂肪が多い人、むくみがある人では身体の状態が異なります。BMIは栄養状態を知る入口にはなりますが、それだけで低栄養を診断することはできません。

「BMI22が理想」を高齢者に当てはめない

BMI22は、一般に「標準体重」を計算するときに使われます。しかし、その根拠として広く知られる日本の研究は、30~59歳の男女を対象に、健康診断で確認された複数の疾患や異常が最も少なくなるBMIを調べたものです。研究論文にも、提案は調査対象となった年齢層に適用されると記載されています。[2]

つまり、BMI22は高齢者を対象に導き出された「高齢者の理想値」ではありません。

高齢者では、BMIが低いほど健康とは限らず、むしろ痩せすぎや体重減少に注意が必要です。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、目標とするBMIの範囲を、18~49歳は18.5~24.9、50~64歳は20.0~24.9、65歳以上は21.5~24.9としています。[3]

65歳以上では、若い世代より下限が高く設定されています。これは、高齢期には生活習慣病の予防だけでなく、フレイルや低栄養の予防にも配慮する必要があるためです。

ただし、21.5~24.9は、全員が必ず収まらなければならない診断基準ではありません。体重管理の参考となる範囲であり、年齢、病気、身体活動量、これまでの体重などを踏まえて個別に考えます。

BMIが低ければ低栄養なのか

BMIが低い人は、低栄養の可能性に注意する必要があります。しかし、生まれつき細身で、体重が安定し、十分に食べて元気に生活している人もいます。BMIが低いという理由だけで低栄養とは診断できません。

反対に、BMIが普通の範囲や25以上でも、食事量の低下によって体重や筋肉が減っている人はいます。以前はBMI30だった人が短期間で26になった場合、「まだ体重が多いから大丈夫」とは限りません。意図しない体重減少や筋力低下があれば、栄養状態の確認が必要です。

低栄養の国際的な診断枠組みであるGLIM基準でも、BMIだけでなく、意図しない体重減少や筋肉量の減少、食事摂取量の低下、病気や炎症などを組み合わせて評価します。[4]

BMIが高ければ痩せるべきなのか

BMI25以上は体格分類上「肥満」に当たりますが、高齢者全員に減量が必要ということではありません。糖尿病、高血圧、脂質異常症、膝や腰への負担など、体重に関連する健康問題があるかを確認する必要があります。

減量が必要な場合も、食事を極端に減らす方法は適切ではありません。筋肉を守りながら安全に進めるため、医師や管理栄養士と目標を相談します。特に、最近体重が減っている、食欲がない、筋力が落ちている高齢者では、体重の数字だけを見て、さらに食事を制限しないことが重要です。

高齢者のBMIは「時間の流れ」と一緒に見る

BMIを確認するときは、現在の数字に加えて、次の点も見ましょう。

  • 半年前、一年前の体重やBMIと比べてどう変わったか
  • 本人が意図せず体重が減っていないか
  • 食事量や食品の種類が減っていないか
  • 歩く速度や握る力、立ち上がる力が低下していないか
  • 服やベルトが緩くなっていないか
  • むくみがないか
  • 病気や薬の変更がなかったか

高齢者では、背中が曲がったり、椎体の圧迫骨折などで身長が低くなったりすることがあります。実際より身長が低く測定されると、計算上のBMIは高く出るため、その点にも注意が必要です。

BMIが目標範囲から外れている、意図しない体重減少が続く、食欲低下や筋力低下を伴う場合は、自己判断で食事を増減せず、かかりつけ医や管理栄養士に相談してください。

高齢者のBMIで大切なのは、「22に近づけること」ではありません。現在のBMI、これまでの変化、筋肉や食事、病気の状態を一緒に見ることです。BMIを体重制限の命令ではなく、低栄養や健康問題に早く気づくための手がかりとして活用しましょう。


執筆者
一般社団法人在宅栄養ケア推進基金

参考文献・参考資料

[1] 日本肥満学会「肥満と肥満症について」
[2] Tokunaga K, et al. “Ideal body weight estimated from the body mass index with the lowest morbidity”
[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満・メタボリックシンドローム予防の食事」
[4] Cederholm T, et al. “The GLIM consensus approach to diagnosis of malnutrition: A 5-year update”

初回公開日
2026年9月9日

最終更新日
2026年9月9日