53.デイサービスは低栄養を発見できる場所になる

デイサービスでは、送迎、健康確認、入浴、食事、機能訓練、レクリエーションなど、さまざまな支援が行われます。

その中には、高齢者の低栄養を早期に発見する手がかりが数多くあります。

定期的に体重を測る。実際に食べる様子を見る。入浴時に身体の変化を確認する。歩行や立ち上がり、会話や活動への参加を見る――。

これらを別々の業務として終わらせず、一人の高齢者に起きている変化としてつなげることで、デイサービスは低栄養を見つける重要な場所になります。

定期的に通うから「以前との違い」が分かる

低栄養は、一日で急に起こるとは限りません。

食事量が少しずつ減り、体重や筋肉が落ち、歩く力や活動量が低下していくことがあります。本人や家族は毎日の小さな変化に気づきにくいものです。

一方、週に1回、2回と同じ利用者に会うデイサービスでは、

「先月より顔が痩せた」
「歩く速度が遅くなった」
「最近、昼食を残す日が増えた」
「レクリエーションに参加しなくなった」

といった変化を比較できます。

一回の体重や一回の食事だけで判断するのではなく、数週間、数カ月の経過を見られることがデイサービスの強みです。

昼食は低栄養を見つける大切な観察機会

食事が提供されているからといって、必要な量を食べられているとは限りません。

食事場面では、次のような変化を確認できます。

  • 主食や主菜を残すことが増えた
  • 肉や魚など特定の食品だけ残す
  • 柔らかいものばかり選ぶ
  • 食べ始めるまでに時間がかかる
  • 食事時間が以前より長くなった
  • 数口で「もういらない」と言う
  • 箸やスプーンを使いにくそうにする
  • 口の中に食べ物をため込む
  • お茶や汁物でむせる
  • 食事中や食後に咳が出る
  • 食後に強く疲れている
  • 水分をほとんど取らない

「完食」「半分」「少量」といった摂取量だけでなく、何を残したのか、なぜ食べにくそうなのかまで観察すると、原因を考える手がかりになります。

職員が「好き嫌い」「食べるのが遅い人」と決めつけず、以前からの変化として捉えることが大切です。

入浴時だから分かる身体の変化もある

デイサービスの入浴介助では、普段は衣服で隠れている身体の変化に気づくことがあります。

  • 肩や胸、背中が痩せてきた
  • 腕や太もも、ふくらはぎが細くなった
  • 骨が目立つようになった
  • 衣服や下着が緩くなった
  • 皮膚が乾燥している
  • 傷や褥瘡ができた、治りにくい
  • むくみがある
  • 立った姿勢を保ちにくくなった

むくみがあると、身体の組織が減っていても体重が減らない場合があります。そのため、体重だけでなく、外見、筋肉、皮膚、動作なども併せて見る必要があります。

もちろん、身体の観察は利用者の尊厳とプライバシーに十分配慮し、介助に必要な範囲で行います。

機能訓練の変化を栄養と結びつける

以前と同じ機能訓練を行っているのに、立ち上がれなくなった、歩ける距離が短くなった、疲れやすくなったという場合、運動不足だけでなく、低栄養や病気の影響も考える必要があります。

筋力を維持・改善するには、身体を動かすことと、必要なエネルギーやたんぱく質を取ることの両方が重要です。

食事量が不足したまま運動だけを増やせば、期待した効果が得られないこともあります。

そのため、機能訓練の担当者が感じた変化と、食事担当者が見た摂取量、看護職が確認した体重や体調を一つにまとめて考えることが重要です。

介護分野でも、リハビリテーション・機能訓練、栄養、口腔を一体的に捉える取り組みが進められています。[1][2]

デイサービスで食べていても自宅では食べていないことがある

デイサービスの昼食を完食しているから、自宅でも十分に食べているとは限りません。

「ここでは皆と一緒だから食べられる」
「家では料理をしない」
「デイサービスがない日は一日二食になる」
「朝と夜はパンやお茶だけ」

という人もいます。

食事中の会話から、自宅での食生活を自然に確認することができます。

「昨日の夕食は何を食べましたか」
「デイサービスがない日の昼食はどうしていますか」
「買い物や料理で困っていることはありませんか」

責めるように尋ねるのではなく、暮らしの中の困り事を聞くことが大切です。

口腔・栄養スクリーニングを発見につなげる

通所介護などでは、口腔・栄養スクリーニングを行い、利用者の状態を確認して関係者へ情報提供する仕組みが設けられています。[3]

栄養では、体重、BMI、一定期間の体重減少、食事摂取量などが主な確認項目になります。口腔では、硬いものの食べにくさ、むせ、口の乾燥、義歯の状態などが手がかりになります。

ただし、様式を記入して終わりではありません。

前回と比べてどう変わったか、食事場面や機能訓練で見られた変化と一致しているかを確認し、必要な支援へつなげることが重要です。

気づいた情報を具体的に共有する

低栄養が疑われる変化を見つけたら、職員一人の気づきで終わらせず、事業所内で共有します。

例えば、

「3カ月で体重が3kg減少」
「今月に入り、主菜の摂取量が毎回半分以下」
「水分でむせることが3回続いた」
「立ち上がりに必要な介助が増えた」
「本人から、自宅では夕食を食べない日があるとの話があった」

というように、数値、頻度、時期、本人の言葉を具体的に記録します。

その情報をケアマネジャーや家族へ伝え、必要に応じて医師、歯科医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、言語聴覚士などにつなぎます。

デイサービスの役割は低栄養を診断することではありません。リスクを見つけ、詳しく評価できる人へ情報を渡すことです。

食事を提供する場所から、変化を発見する場所へ

デイサービスには、高齢者の低栄養を発見するための条件がそろっています。

定期的に会える。体重を測れる。食事を実際に見られる。口の状態、身体機能、活動量、他者との交流も確認できる。

それぞれの情報を結びつければ、「以前より食べられなくなった」「体重と筋力が同時に落ちている」という変化を早い段階で捉えられます。

デイサービスは、昼食や介護を提供するだけの場所ではありません。

高齢者の日常的な変化を見つけ、家族、ケアマネジャー、医療・歯科・栄養の専門職へつなぐ、地域の低栄養予防拠点になることができます。


執筆者
一般社団法人在宅栄養ケア推進基金
参考文献・参考資料

[1] 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」―リハビリテーション・機能訓練、栄養、口腔の一体的取組
[2] 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関する審議報告の概要」
[3] 厚生労働省「令和3年度介護報酬改定について」―栄養スクリーニング・アセスメント・モニタリング、口腔・栄養スクリーニング様式
[4] 厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)について」―栄養スクリーニング・アセスメント・モニタリング様式

初回公開日
2026年9月29日

最終更新日
2026年9月29日